Ecole Libreの現場から
Vol.6「自発的」な勉強

Vol.6「自発的」な勉強

2018.02.28

みなさんは、小中学生のころ、勉強することが好きでしたか?私は、どちらかと言えば嫌いでした。勉強すること自体が嫌というより、勉強することよりも楽しいこと、やりたいことがたくさんあったから、勉強したくありませんでした。それでも、宿題などやらなければならないものはあります。なので、仕方なく机に向かっていました。きわめて自発的ではありませんでした。同じような経験をされていた方も、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

私は、可能ならば、こどもたちには自発的に勉強してほしいと考えています。しかし最近、エコールリーブルに来てくれているこどもたちを見ていると、自発的に勉強しているこどもが少ないように感じています。なので、この記事を書くことをきっかけに、自発的に勉強することについて考えてみました。

こどもたち自身で自発的に勉強するようになる、最も理想的な理由として考えられることは、こどもがその教科のことを好きになることだと思います。エコールリーブルのこどもたちの様子を見ていても、勉強に対して、自発的であることと好意的であることには関連性があるように見受けられます。そして、その教科に対して好意的な印象を持っていれば、勉強することで吸収することができる知識の量や質の向上につながり、その勉強を続けるモチベーションにもつながります。特に、私たちエコールリーブルでは、こどもたちに勉強することを強制せず、彼ら彼女ら自身で勉強したい教材を持ってきてもらって、一緒に勉強するというスタイルをとっているので、こどもたちがその勉強を好きでいてくれたら嬉しいなと思っています。

今、エコールに来てくれているこどもたちの中に、漢字がとても好きな男の子がいます。その子は、自分の知らなかった漢字や大人の読めないような難読漢字をまとめたノートを作っています。学生に漢字クイズを出してくれることもあるのですが、難しい漢字が多く、毎回悪戦苦闘しています。逆に、学生がその子に漢字のクイズを出して、答えられなかったときは本当に悔しいようで、次の活動で同じクイズを出すと、しっかり答えてくれます。やはり好きなことに関する知識の吸収率は高いのだということを実感しました。

また、勉強する教科に対して好意的になり、自発的に勉強するようになれば、勉強するという行為に対する抵抗がなくなり、机に向かう習慣もつきやすくなるのではないかと思います。中学生になれば、定期テストなど勉強しなければならない機会が増えていきますし、長い目で見れば、高校・大学の受験勉強も控えています。なので、小中学生のうちから自発的に勉強するという習慣をつけておくことは、大きなメリットになると思います。

エコールリーブルでは、昨年より今までの活動よりも、より学習に重きを置いた活動を火曜日に開始しました。火曜日の活動は、今までの月、木曜日の活動と比べて、落ち着いた雰囲気で、自然と勉強に集中することができるようになっています。当初の予定だと、時間帯が遅いこともあり、小学校高学年から中学生を対象に活動を開始したのですが、現在では、それ以下の学年のこどもたちも積極的に参加してくれています。火曜日での活動を通して、勉強する環境の重要性を再認識し、環境を整えれば、自発的に勉強しやすくなる、ということを知ることができました。

黙々と勉強に取り組んでいるところです

黙々と勉強に取り組んでいるところです

とはいえ、毎回すべてのこどもたちが自発的に勉強してくれることはあり得ません。では、自発的に勉強しないという場合に、はたしてこどもに勉強を「させる」ということをした方がいいのでしょうか。勉強するという行為自体が、一定のメリットのある行為ではあるのですが、自発的な勉強と非自発的な勉強とでは、効率などが変わってきます。宿題等の、しなければならない勉強があることは事実です。しかし、こどもだからこそ学ぶことのできる、勉強以外の機会もたくさんあるのではないでしょうか。こと勉強のみにスポットをあててしまうと、そのような機会を奪ってしまうことにもつながりかねないと思うのです。私自身、小学生のころはあまり勉強をしていなかったのですが、それと引き替えに様々な経験をすることができました。ときには怒られたり、ときには怪我をしたり、そういった経験ができるのもこどもの特権なんだと思います。できるだけその特権を活用してたくさん遊んでほしいです。

先ほど述べたように、エコールリーブルでは、勉強することを強制していません。その日こどもが「今日は勉強したくない」と言えば、全く勉強しないこともあります。勉強したくない理由を聞いてみて、場合によっては勉強するよう促すこともありますが、いずれにせよ、そのこどもの意思を尊重して、その日何をするかを決めます。全く勉強しないと聞くと、大丈夫なのかなと思われることもあるかもしれません。でも、こどもたちが自分たちの意思で決めたことなら、それが勉強であれ、それ以外のことであれ、強制されたときとはやる気や集中力が全く違うのです。何より自分の意思で決めて勉強しているのであれば、勉強を嫌になるということもありません。

いつもこどもたちと話しながら活動しています

いつもこどもたちと話しながら活動しています

「自発的」な勉強にフォーカスしてこの記事を書こうとしていましたが、つまるところ大切なのは、それ以前にまず「こどもの意思を尊重する」ことなのではないか、というのが私の結論です。もちろん、こどもたちに勉強してほしいという気持ちはあります。でも、それはこどもたちの自由を奪ってまですることではなく、こどもたちの気持ちに寄り添い、その意思を尊重し、必要な場合には自発的に勉強するように促すことが私たちの役目なのではないかと考えました。こどもたちが、楽しく勉強できるよう、エコールリーブルの目指すべき像を再確認し、次回以降の活動につなげていこうと思います。

(たかはら)

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千葉大学教育学部の学部生を中心に、地元の小・中学生に無償で勉強を教える活動を行う。2013年5月に活動を開始。一人ひとりのこどもと向き合い、彼らのやりたいことや苦手を把握しながら、彼らに応じた学習機会を提供している。HP: https://ecolelibre.jimdo.com/

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