Ecole Libreの現場から
Vol.5 地図帳が好きだ

Vol.5 地図帳が好きだ

2018.01.24

僕は個人的に地図帳が好きです。
大好きとまではいきませんが、眺めていても楽しめるくらいには地図帳が好きです。
ただなんとなく眺めながら、この町からこの町へは自転車で行けそうだなとか、こんな名前の国があるんだなとか、そういったことを考えるのが楽しいのです。

というのも、僕自身の趣味が旅行であるからだと思います。自分が実際に訪れた場所やこれから行ってみたい場所が地図の中にあるだけで、その地図は以前とは全く別のものになるのです。だから余計に楽しくなって、地図帳を眺めている時間が増えたのでしょう。

それに、地図帳を眺めているとなんだか自分が賢くなったような気になります。実際のところ、僕はただ眺めているだけなので、豊かな知識が身に付いているとは思えませんが、少なからず国名や都市名など新たな情報が入ってきます。このように「学び」と結び付いている点も、地図帳の魅力なのかもしれません。

さて、長々と自分の話ばかりしてしまいましたが、ここからはエコールリーブルでの話に入りたいと思います。
僕はエコールリーブルの活動中にもよく地図帳を眺めているのですが、最近、あることを思うようになりました。それは、教育において地図帳って結構使えるな、ということです。

もともとエコールリーブルには図鑑や地図パズルなど、大学生が持ち寄った様々な本や教材が置いてあります。しかし、それらの中でも、この地図帳だけはかなりの頻度で僕やその他の大学生が使っているなと感じたのです。

棚には学生が持ち寄った本が並んでいます

棚には学生が持ち寄った本が並んでいます

では、どのようなタイミング、どのような用途でこの地図帳を使っているのでしょうか。普段の活動から考えてみたいと思います。

こどもが学校の勉強をしていて知らない地名が出てきた時、これは地図帳の使い時だと言えるでしょう。
例えば、こどもが社会科の問題を解いていて、「有名な魚沼のコシヒカリ」という記述があったとしましょう。僕はすかさず地図帳を持ってきて、魚沼がどこにあるのか一緒に確かめようと言います。そして、なるほど魚沼は新潟県のこの辺りなんだと、僕もこどももうなずくのです。このような光景は、エコールリーブルでは珍しいものではありません。

学校の勉強に限らず、日常的な会話の中でも地図帳は登場します。この前こんな場所に旅行したんだーとか、この県にあるおばあちゃんの家にいった~とか、地図を指差しながら話すのです。そういったささいな会話でも、地名を覚え地理感覚をつかむ良いチャンスになると思います。

世界地図の中から自分の知っている国を探しています

世界地図の中から自分の知っている国を探しています

また、ゲームの題材としても地図帳はもってこいです。「ア」から始まる国名を並べる遊びや、海に面していない県を当てるクイズなど、僕は今までもいくつもの遊びをしました。
中でも、僕が個人的に面白いと思ったのは、「世界で一番暑い場所バトル」です。これは僕と小学生で交互に地図上の地名を言って、その地域の現在の気温を、インターネットを用いて調べ、どちらがより暑い地域を言えるかを競うゲームです。

単純そうに思われるかもしれませんが、ただ赤道直下の地名を言えば勝てる訳ではありません。今現在の季節や昼夜、土地の標高や気候帯はどうなのか、そして今晴れているかどうかなど、様々な要因で現在の気温は変わってきます。僕も小学生も、それぞれ自分の持っている知識と勘を働かせて予想するのです。
そう聞くと、今度は難しそうなゲームだと思われるかもしれません。しかし実際にやってみると、大学3年生と小学5年生で結構いい勝負になり、「そんな場所が暑いの?なんで!?」と僕が驚かされる場面もあります。勝負はなんだかんだ僕が勝つのですが、あるこどもは「次は一番寒い場所を当てよう!」と言って、一人で色々調べていることもありました。

見開きの世界地図のページは特にボロボロに

見開きの世界地図のページは特にボロボロに

ここまで僕の記事を読んでくださっている方の中には、もしかすると地図帳を使った良い教育実践をしているなあ、よく頑張ってるなあと思ってくださる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし僕自身の意識としては、そうではないのです。地図帳という自分が楽しいと思うことを自分からこどもに共有し、それが教育とたまたま結び付いている、または僕が教育と結び付けているという感覚なのです。これはある意味で大学生の自己満足とも言えますが、僕はこれもいいのかなと思っています。
自分が好きなことで、目の前のこどもに良い影響を与えられていて、場合によってはそのこどもも同じものを好きになってくれる、それはお互いにとって良いことなのではないでしょうか。

最後になりますが、最近、僕はエコールリーブルに新しく置きたいなと思っているものがあります。それは地球儀です。
考えようによってはメルカトル図法で引き伸ばされた紙の地図より、地球儀の方がより真実に近いと言えますし、地球儀の形は子供心をくすぐるものがありますよね。
僕にとっても、こどもたちにとっても、好きになれることが、エコールリーブルに増えていけば素敵だなあと思っています。

(はんざわ)

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千葉大学教育学部の学部生を中心に、地元の小・中学生に無償で勉強を教える活動を行う。2013年5月に活動を開始。一人ひとりのこどもと向き合い、彼らのやりたいことや苦手を把握しながら、彼らに応じた学習機会を提供している。HP: https://ecolelibre.jimdo.com/

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