Vol.2 小さな種をさがして。
2017.10.25
教育学部で講義を受けていると、「こどもは先生だ。」という言葉をよく耳にします。入学した頃はぼんやりとした理解しかありませんでしたが、エコールリーブルでこどもと向き合っていると、このことを実感する瞬間がたくさんあります。
一年ほど前の活動での出来事です。一通り学習を終えた男の子(小2)と共に磁石セットで遊ぶことになりました。はじめて磁石に注目する男の子。棒磁石を使って引力と斥力(反発する力)の性質を見せてあげると、夢中になって遊び始めます。ふと手に取ったのは丸く平べったい磁石二つ。縁と縁をくっつけ、くるくる回して遊びはじめました。私には面と面をくっつけるという発想しかなかったので、そんなやり方もあるのかと見ていたのですが、一度違う遊びをして再度同じようにくっつけようとすると・・・くっつかない!「なんでだー?」と思わず一緒に声をあげてしまいました。
そこで男の子からこんな問いかけが。
「磁石の縁にも、くっつくところと、くっつかないところがあるのかな。」
ということで検証開始です!磁石を替えてみたり、左右を逆にしてみたり・・・。その結果、一方はS極の面を上に、もう一方はN極の面を上にしておくと、縁と縁がくっつくことを発見しました。思いもよらない大発見に二人で大はしゃぎです。私がしきりに褒めるので男の子はとっても得意げでした。
活動で使っていた磁石セットです
こどもからは、時に教科書ではカバーしきれないような発問が飛び出してきます。そんなこどもの発見に立ち会うことができたとき、わたしは驚きと感動を禁じ得ません。このときは、さらにその答えをいっしょに探すこともできて、本当に素晴らしい時間になりました。学生が教えてあげているというよりは、こどもからの素晴らしい発問によって学びが展開していくという感覚。それはベテランの先生が、良い発問によって授業を進めていく様子に似ています。こどもは偉大な先生でした。
恒例となっているガレージでの活動
活動場所の裏にあるちょっとしたガレージの空間も、こどもにかかれば発見と学びの宝庫となります。水遊び中、水に落ちたアリを観察し「アリは泳ぎの名人だ!」と発見したり、羽化したばかりのてんとう虫には斑点がないことを見つけたり。最近では、ミニトマトの急激な成長にみんな興味津々です。
「なぜ?」「どうして?」「どうなってるの?」
教材、遊び、学生との会話、様々なことをきっかけに、こども達の中に生まれた興味はどんどん膨らみ、学びはどんどん深まります。
こどもたちはミニトマトの急激な成長に興味津々です
急激に成長したミニトマト
広大で豊かな「こども」という土壌に無数に隠れている、小さな小さな興味の種。一度でその土壌すべてに水をあげることはできませんが、ある一画に少しでも水をあげてみると、思いもかけないところからひょっこり、芽が顔を出します。この芽を見つけることは私の喜びであり、活動を続ける原動力になっています。
学校教育では見逃してしまいそうな一画に水をあげてみること。こども自身も気づかなかった小さな興味や発見の芽生えに気づいて共有すること。エコールリーブルがその役割を担っていこうと強く思う今日この頃です。
ちなみに、磁石の大発見をしてから1年後の現在、男の子の将来の夢は科学者なんだとか。あの体験となにか関係があるのかな。エコールリーブルで見つけた芽が、大きく育っていったら素敵ですね。
(くらうち)