この街のまだ見ぬ場所を目指して私たちは今日も練り歩く
vol.5 この街の普通じゃない酒屋さん

vol.5 この街の普通じゃない酒屋さん

2017.10.05

お酒というものは、暮らしの実にさまざまな場面で登場し、
都度ぼくの気持ちを解きほぐし、楽しい気持ちにさせてくれる。
酔っ払えればいいかというとそうではなくて、その味がとても肝心だ。

旨い酒に出会ったときの、堪らなくなるあの気持ち。
大好物を口に頬張り、舌の上でとろけた瞬間のような。
それは筆舌に尽し難く、もう幸せ以外の何物でもない。
が、そんな出会いは、人生でそうそう経験できるものではない。

今やコンビニやスーパーでも、いろんな種類のお酒が手に入るが、
そういったお店ではそんな機会にはありつけない。
でも酒舗にしうらなら、それが起こっても不思議ではない。

酒舗にしうらのエントランス

酒舗にしうらのエントランス

入荷しているお酒がずらり

入荷しているお酒がずらり

JR西千葉駅改札を出て千葉大学とは反対側に出ると、正面に西友がある。
そこを右折し、少し歩くと右手に自転車屋、郵便局、そして彼の酒屋さんが控えている。

充実した商品棚

充実した商品棚

地下セラー(日本酒とワインがあり〼)

地下セラー(日本酒とワインがあり〼)

そして奥には秘密の扉が

そして奥には秘密の扉が

商品棚には、普通のお店では見たことのないようなお酒ばかり。
変り種が好きなぼくにとっては、願ったり叶ったりだ。
どんなお酒か片っ端から聞きたくなるし、飲みたくなる。
味わったことのないお酒を見ると、どうしたって試してみたくなるものなのだ。

珍しいビールが並んでいる。ロシュフォールもいいが、ぼくのおすすめはドゥシャス

珍しいビールが並んでいる。ロシュフォールもいいが、ぼくのおすすめはドゥシャス

と言いつつ、片っ端から口を開けるわけにもいかないので、
充実した商品棚を横目にしながら、
ぼくは何をおいてもまず西浦さんに相談することにしている。

相談と言っても、ぼくは味の好みを説明する言葉をそれほど持ってはいない。
だから「あのお酒が美味しかった」「あのお酒のあの感じが堪らない」に始まり、
「果実味のあるジューシーなやつ」がいいとか言い出して、
最終的には「ガツンとくるやつ」「ヤバいやつ」「変なやつ」というような、
どんどん感覚的で抽象的な話になっていく。

西浦さんはそんなぼくの話からでも好みを掴み取ってくれる。
そして、お酒にまつわる背景やストーリーなども交えながら、
その透徹した目で素敵な品々を選りすぐってくれる。
それは、自分の心持ちにぴったりの本を紹介されたときのようで、
どうしてもその世界を覗きたくなってしまう。

笑顔で対応してくれる西浦さん

笑顔で対応してくれる西浦さん

お酒への愛を感じる説明書き。ちなみにこの順子の造り手、元々はワインの造り手です

お酒への愛を感じる説明書き。ちなみにこの順子の造り手、元々はワインの造り手です

商品棚を覗いてみても、お酒一本一本について、しっかりと紹介されている。
これならどのお酒についてもイメージをつかむことができるし、
何よりも西浦さんのお酒に対する尋常ならざる愛がひしひしと感じられる。

西浦さんから出てくる話題は尽きることがない。
お酒のつくりかたの違いから、現在の流通の話、
はたまたあるワインの一本に秘められたストーリーに至るまで。
自分が飲みたいと思えるお酒のいろんな話を教えてくれるものだから、
飽くことがないし、毎度お店を去るのが名残惜しい。

いつも長時間居座っていろいろと教えてもらっています

いつも長時間居座っていろいろと教えてもらっています

お酒を飲むまでには、実にさまざまな要素が絡み合っている。
原料となる農作物、それが育つための土地や水。
お酒そのもののつくりかた、酒蔵の持つ歴史、それらを支えてきた人たち。
そして、その全てを理解して提供してくれる酒屋さん。

お酒を飲むということは、それら全てと出会うということなんじゃないか。
西浦さんと話していると、そんなことを思ってしまう。
そしてまた今日も、そんな素敵な出会いにあずかるために、
酒舗にしうらに足を運んでしまうのだ。

■酒舗にしうら(西浦商店)
Web:https://www.facebook.com/syuhonishiura/
住所:千葉県千葉市中央区春日2-25-2
営業時間:9:30-21:00
定休:火曜日
TEL:043-241-3126

三瓶 伊万里
三瓶 伊万里 | 記事一覧

1984年、福島県生まれ。大学がリベラルアーツを標榜することから、所属は教育学科ながら、他領域の学問にも自由に触れる経験をする。07年に住友商事(株)に入社、鉄鋼事業に従事する。サラリーマンとしての暮らしの在り方に疑問を持ち始め、まちづくりに携わりたいという想いを強くする中、同社を12年に退社。同年(株)北山創造研究所に入社する。14年には同社を退社、現在は新たな社会の在り方を研究しながら、実践の可能性を模索している。

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