三十路男子のリアル西千葉ライフ
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Vol.7 まちはけっこう愛に溢れているという話

2017.05.22

ゴールデンウィークもあっという間に終焉を迎え、また普段の生活に戻りましたが、みなさんはいかがお過ごしでしたでしょうか。わたしはと言えば、前回のコラムでも書かせていただきましたが、1月に生まれてきた娘が、もう4ヶ月になりました。今回は、生まれてきた娘を介して経験したことから書いてみようかと思います。

先ず、我が子というものは、理屈ではなくなんだかとってもかわいいものでした。生まれたばかりの赤ちゃんというのは、ずっと水に浸かっていたわけですから肌も赤いような感じだし、シワもあるし、よく「猿みたいだ」なんて形容されたりするような外見だったりするのですが、その時点であっても、既にかわいい。娘が生まれる以前、他の方のお子さんと遊んだりするのは嫌いではなかったですし、なんなら結構かわいいと思ったりもしていました。が、我が子はまた全然違う。それが自分にとっては否応なくそうなんだという経験は、本当に新鮮でした。

そんなかわいい我が娘ですが、体は日に日に確りしてきますし、大きくもなってきます。肌にはハリが出てきて、その色も落ち着いてきます。加えて、彼女の反応も変わってきます。初めて笑顔を目にしたとき、何かを話しているかのように声を出すようになったとき、初めてこちらの声に反応して笑ったときなど、これがもうたまらない。最近寝返りもするようになりましたが、それでもまたこちらのテンションは上がる。と、日を追うごとに変化していく娘は、常に新鮮で見ていて飽きませんし、この変化の絶えない暮らし自体、とても楽しい経験となっています。

そして、娘との外出が増え始めることで、また新たな経験をすることとなります。わたしも奥さんも、まちには友人知人がおりますので、コーヒーを飲みに行ったり、食事をしに行ったり、買い物に行ったりした際、彼らと遭遇することはままあります。娘と顔を合わせると、みんな口々に「かわいい」と言いながら娘に笑顔を向けてくれますし、わたしたちも自然と笑顔になります。自分が独身の時分でも、子を持つ友人と会ったりする際にはこういうことはありましたので、「今度は自分が言ってもらう側になったんだなぁ」と感慨も一入でした。

ここで、全く予想していなかった事態が起こります。それは、奥さんと買い物をしに、娘をベビーカーに乗せてJR総武線西千葉駅へと出かけたときのこと。駅の商業施設内を歩いていると、全く知らない方が、とても優しい笑みを湛えながら、「かわいいわねぇ、何ヶ月なの?」と声を掛けてこられたのです。その笑顔というのが、知らない人に向けているとは思えないような、優しさが溢れんばかりの、とても温かいものでした。

自分の友人知人以外の方が、自分たちにとびきりの笑顔を向けてくださることなんて、それまでの暮らしには全くないことでしたので、嬉しいと思う一方で、とても驚いたのを覚えています。しかも、このようなことが一度や二度ではなく、結構な頻度で起こるので、なんだか自分が住んでいたまちとは全く別のところにいるようにすら感じました。

結婚、そしてこどもが誕生する前、当たり前ですが、わたしは独身の大人でした。一人でこのまちに住まい、朝起きて、仕事に行き、飲んでは帰る。友人知人と会って話したり、運動したり、お酒を飲んでいるときなどは楽しく過ごしていましたが、暮らしていれば「そうではない時間」というものも存在します。お店で商品を選んだり、レジに並んだりしているとき。ただ目的地へ向かって徒歩なり自転車なりで移動しているとき。こういった時間はなんとなく過ぎていくもので、結構無味乾燥としていましたし、気が急いていれば他人を邪魔だと感じることもしばしば。

そんな状態で暮らしておりましたので、それこそ「赤の他人」が暮らしの中でクローズアップされることなんてまるでなかったし、況してや満面の笑みを向けてもらえるなんて、想像したこともありませんでした。ですから、自分が勝手に味気ないと感じていた、まちの「そうではない時間」にも、人の優しさが隠されていたということには、驚きを禁じ得なかったわけです。それまで自分が「知っている」と思ってなんとなく見ていたものが、全く別の姿で目の前に現れてきたわけですから、大袈裟ではなく本当に衝撃的でした。

娘を介してまちと接してみたら、今までは「そうではない時間」の「赤の他人」だった方々が、人として浮かび上がってきて、しかも優しい。これはもう感動的でさえありました。そして、人の優しさや満面の笑みを引き出して、見たことのない景色を見せてくれるわけですから、こども(もとい我が娘)というのは本当にすごい。でも、もう少し考えてみると、こどもをきっかけにすれば、実はみなさんとても優しい、ということでもあるわけですから、それもまたすごいですよね。とすれば、そもそもまちはけっこう愛に溢れている、ということなのかもしれません。知らない人でさえ優しいんだったら、もう言うことはないですね。このまちで暮らすのがまた楽しくなってしまいそうです。

娘が生まれて4ヶ月、本当に様々な経験をさせてもらいました。今度は固形物を食べるようになり、はいはいをし始め、歩きだしたと思ったら、終いには話し始めちゃったりするわけですから、引き続きダイナミックなこと請け合いです。また機会をつくって書かせていただこうと思っておりますので、その際には是非ともご一読ください。

三瓶 伊万里
三瓶 伊万里 | 記事一覧

1984年、福島県生まれ。大学がリベラルアーツを標榜することから、所属は教育学科ながら、他領域の学問にも自由に触れる経験をする。07年に住友商事(株)に入社、鉄鋼事業に従事する。サラリーマンとしての暮らしの在り方に疑問を持ち始め、まちづくりに携わりたいという想いを強くする中、同社を12年に退社。同年(株)北山創造研究所に入社する。14年には同社を退社、現在は新たな社会の在り方を研究しながら、実践の可能性を模索している。 https://www.facebook.com/imari.sampei

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