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vol.15 エッセンシャル思考

2017.02.24

エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする
グレッグ・マキューン 著
高橋璃子 訳
2014年 かんき出版

大切なものはなんですか

わたしは仕事柄いろいろと調べ物をすることが多い。また、いろいろなものに興味を持ちやすい性格でもある。必然的に、多種多様な情報に触れることとなるし、また様々な方とやりとりすることにもなる。あるひとつのトピックについて動いているときは良いのだが、これが複数に亘ってくると、途端に大変なことになる。どの件はどんな状況だったか、それに関してどの人とどこまで話したのか。とてもではないが、事細かに覚えてはいられない。トピックが変わる度に、それに関する以前の状況を思い出すことから始めることになるから、いちいちエネルギーを消費する感じだ。終いには辟易とすることになってしまう。

このように、たくさんのトピックを扱うことに疲れていたとき、本書の「最小の時間で成果を最大にする」という副題に、まんまと唆られてしまった。タイトルにある「エッセンシャル」だが、日本語に訳すと、「必要不可欠な」とか「本質的な」といった意味となる。読んでみると、内容はまさにその言葉の通り。自分にとって最も大事なもの、本質的な要素だけを見極め、それに集中して確実に実行していくための方法論について記してある。本書にあるクローゼット整理方の例えを借りて簡単に説明したい。

まず、中の洋服を「評価する」。ただし、「いつか着る可能性があるだろうか?」という考え方ではなく、「大好きか?」「すごく似合うか?」「しょっちゅう着るか?」と考える。答えがノーなら、不要と判断できるわけだ。次に、「捨てる」。クローゼットの洋服を「いるもの」と「いらないもの」に分けたとして、「いらないもの」を今すぐ捨てられるかと言えば、それはなかなか難しい。不要なものを捨てるには、そのための努力が必要だ。そして最後に「実行する」。クローゼットをきれいに保つには、日頃から整理整頓できる仕組みが必要となる。どうしても必要なもの以外を入れておく場所を用意しておいたり、定期的に古着屋に持って行ったりと、習慣化することで、整理を実行し続けることができるわけだ。これを物事について行うことができるようにするのが、本書の目的、というわけである。

大切なものを選ぶというだけでも、今までなんとなくで片付けているところに優先順位をつけるわけだから、結構大変だ。そして、大切なもの以外を捨てる。これが輪をかけて難しい、と思う。例えば、仕事関係であれ家族や友人であれ、人から何か物を頼まれた時、自分にとって大切なものに集中するために、しっかり「ノー」と言うことができるだろうか。相手の機嫌を損ねることだってあるかもしれない。また、何か面白そうな誘いが来たとき、自分にとって「これしかない」という誘いではないという理由で、それを断ることができるだろうか。面白さに負けて、手を伸ばしてしまうのではないか。そして、日々そんな取捨選択をし続けていくことができるのだろうか。と考えると、このエッセンシャル思考、なかなかどうして遠大で、ハードルの高いものだということは想像に難くないだろう。

いつ起きて、何を食べるか。誰といて、何を話すか。何をして、何を考えるか。日常とは、意思決定の積み重ねでできているのだと思う。無意識的にもそれをしているから、そこから整理しようなんてなかなか考えることではないのかもしれない。でももし仮に、「なんだか疲れたな」「今日なにしてたっけな」と思うようなことがあれば、是非とも本書を手に取られることをおすすめしたい。そんなちょっとしたSOSが、ともすれば「自分の」人生を取り戻す契機になる、なんてことも、あるかもしれない。

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