生活実験家の暮らしの「なんでだろう」

vol.3 オランダ旅〈1日目〉

2017.02.10

少し前の話になってしまいますが、10月のはじめ頃、1週間程オランダへ旅行へ行ってきました。
オランダの国土は日本の約9分の1。九州と同じくらい。日本よりもずっと小さいけれど、海を開拓し、国土を広げ、自分たちの暮らす場所や文化をつくってきたクリエイティブな国・オランダ。
なんだかあちこちで「オランダいいよ!」「オランダはおもしろい!」という声に出会うことが多く、気になる場所もちらほら。オランダの何がそんなにみんなの興味を惹きつけているのかはっきりはわからないけれど、なんだか自分の目で見てみたくなって、えいやーっ!とひとっ飛びして行ってきちゃいました。

しばらくは、アムステルダムを中心に、自転車でふらふらしたり、現地の人に色々お話を聞いて回ったりしたオランダの旅の様子を、お届けしようと思います。
たくさん写真も撮ったし、色んな場所を紹介したいけれど全部を紹介していると長〜〜い記事になってしまうので、気になった場所は直接webサイトもチェックしてみてください^^

今回はまず到着初日の様子を。
フランスのシャルル・ド・ゴール空港を経由して朝9時にアムステルダムのスキポール空港に着きました。ホテルへ向かって荷物を預け、自転車を借りていざアムステルダムの街へ!!オランダは自転車大国で、みんな自転車に乗って移動しているので、私もオランダ人になった気分でサイクリングを楽しみながら街を散策することにしました。

今回の旅の相棒。オランダの自転車は重いし大きいし、乗りこなすのに一苦労でした。

今回の旅の相棒。オランダの自転車は重いし大きいし、乗りこなすのに一苦労でした。

あちこちに張り巡らされた運河沿いに、かわいらしい建築が連なる街並みにわくわくしながら、凄くベタだけれど、アムステルダムに来たのなら、まずはここへ行かないと始まらない!ということで、かの有名な「amsterdam」オブジェのあるミュージアム広場へ。

運河の景色はほんとうにきれい。水辺がある街っていいな。

運河の景色はほんとうにきれい。水辺がある街っていいな。


有名なアムステルダムのオブジェ。

有名なアムステルダムのオブジェ。

アムステルダムを訪れた人の多くはここで写真を撮るので、SNSなどでよく目にしていた風景だけれど、実際に見てみるとやっぱりテンション上がる!!と、アムステルダムに来ている実感を噛み締めながら写真を撮り終えたところで、ふとある出来事を思い出した。
以前HELLO GARDENに「LOVE」という大きなアート作品を置いていたことがありました。そのLOVEにも、ここと同じようにみんなが触って、登って、写真を撮っていて、私はその光景をとてもいいなーと思っていたのだけれど、それを見ていた通りがかりの人やご近所さんから、「子どもたちが登って事故でもあったらどうするの。登れないようにして欲しい。」と言われてしまい、私たちはしょうがなくLOVEのまわりに柵をしてしまった。このことを、後でオランダに暮らす知人に話をしたら、「オランダは基本的に自己責任、という考え方だからね」と言っていた。自己責任っていう価値観、すばらしいと思う時と、そうじゃない時と。各自の責任のもとに、自由な選択ができる良さもあるけれど、連帯責任の意識があるからこそ守られる秩序もある。日本の良さも課題も、この価値観のジレンマと共にある気がして、難しい価値観だな〜と今でもモヤモヤしています。

さて、Amsterdamのオブジェに満足したので、ひとまずお昼ごはんを食べることに。

オランダは、実は「スープ」が名物で、どこのカフェにもスープというメニューがあります。オランダ人は朝食やランチはパンやサンドイッチといった軽食で済ませるのが普通だそう。カフェのメニューにあるスープもランチ的な位置づけで書かれているけれど、頼んでみるとスープと小さなパンが2切れほどついてくるだけ。

少しスパイスが効いたトマトのスープとホットチョコレート。

少しスパイスが効いたトマトのスープとホットチョコレート。

日本でのランチのボリュームに慣れているととても少なく感じるけれど、食べてみると、ペコペコだったお腹も意外と満足。私にとってのランチも、これくらいでちょうどいいかも。身体が大きいオランダ人(平均身長世界一!)よりも、小柄な日本人の方が毎日いっぱい食べている気がする、、、。今の暮らしは食べ物に溢れかえっていて、ついつい色んなものをお腹いっぱい食べてしまうけれど、私たちが健康に過ごすために必要な食事の量って、本当はどれくらいなんだろう、なんてことを考えながら、カフェを後にしました。

■BUFFET van Odette
http://buffet-amsterdam.nl/
Prinsengracht 598
1017 KS Amsterdam

温かいスープで心も身体も満たされた後は、アムステルダム国立美術館へ。

「アムステルダム国立美術館」

「アムステルダム国立美術館」

レンブランドの「夜警」や、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」など、名作を所蔵・展示していることで有名なこの美術館。
ヨーロッパでも有数のこの美術館、2013年4月に大規模改修を終えたばかりなのだけれど、実は、この改修を終えるまでに10年もの歳月がかかったそう。
著名な建築家の設計により、最先端の美術館に生まれ変わる予定だったが、そのプランに市民が猛反対。市民と市長、美術館館長、建築家たちが何度も話し合いを重ねるが、みんなが納得のいく結論が出ず、ずっと傾向線が続き、当初の改修スケジュールを大幅にオーバーしていった。
市民が反発した原因は、美術館の1階を貫く道が、改修プランでは美術館のエントランスに変わり、普段アムステルダム市民が公道として使っているこの道がなくなってしまうものだったから。自転車で通り抜けできるこの道は、アムステルダム市民の暮らしにとって、とても重要なものだったのです。
最終的にはこの道が残されるプランが決まり、今でもアムステルダム市民は美術館の1階を自転車で通り抜けています。

美術館の中を自転車でくぐる。不思議な体験。

美術館の中を自転車でくぐる。不思議な体験。

この10年の歳月の記録は、ドキュメンタリー映画にもなりました。
この話を聞いて、アムステルダム市民は街を、そして美術館を、自分たちのものでもあると認識しているんだと驚きました。自分たちが払った「税金」が使われるパブリックスペースの計画が、市民の知らないところでプランが決まり、それが市民が喜ぶ形ではないことに対して、彼らは立ち上がり、声をあげた。日本でも同じように、私たちの知らないところで決まっていくことがたくさん。(「新国立競技場」問題もそのひとつだったような)
同じようなことが自分の暮らす街で起こった時、私はどうするだろうか。きっと、アムステルダムの人々のようには声を上げず、文句をつまみにお酒を飲んでしまう気がした。日本にいると、私たち市民にも自分たちの意見を声に出して言う権利があるということを、知らず知らずのうちに忘れてしまいそうになるのは私だけでしょうか、、、。
と、アムステルダム国立美術館の生い立ちはこのあたりにして、美術館の感想を。
まずはとにかく品があって、美術館全体が美しい。飾ってある作品はもちろんどれも素晴らしく、それぞれの絵の前に佇むひとがいるのにも納得だけれど、来館者を迎え入れるロビーも、新しく作られた展示空間も(壁の色が私はとっても好き!)、昔からの姿を残すステンドグラスやタイルも、美しくて、ここにいるだけでほんとうにお腹いっぱいになれます。

展示空間の壁の色がすごく好き。

展示空間の壁の色がすごく好き。

そして、品があるのに、ぜんぜんお高く止まってない感じ。すごく温かくて、ほっとできる。来館者もみんなおしゃべりしているし、展示空間にあるソファーでただただくつろぐ人も。みんなが自由に過ごしている感じだけれど、うるさいとも感じないし、子どもが走り回ったりもしているけれど、展示を鑑賞するのにまったく気にならない。なんだこの懐の広さは!!という感じでした。日本の美術館となにが違うのか、未だにはっきりとわからないことにムズムズ。
訪れた日はロビーでドローイングのワークショップもやっていて、その姿が自由で、そしてオープンなのもまた良かった。ワークショップをしている人たちを鑑賞する人たち、という不思議な関係性が生まれているもの面白いな〜と思いながら隣接するカフェでシャンパンをいただきました。
とにかく、この美術館を見るためにアムステルダムに行ってもいいんじゃないかと思うくらい、素晴らしい美術館です!!

作品をスケッチするイベント。スケッチをする人をぼんやり眺める人も。

作品をスケッチするイベント。スケッチをする人をぼんやり眺める人も。


昔から残るタイルの美しさに感動!

昔から残るタイルの美しさに感動!

■アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum Amsterdam)
https://www.rijksmuseum.nl/
Museumstraat 1
1071 XX Amsterdam

美術館の後は、ホテルへ帰る途中で、最近アムステルダムでホットなスポットのひとつ「De hallen」へ寄り道。
もともとトラムの倉庫だったところを改装して、ショップとフードコート、ホテル、映画館、保育園、デザインスタジオなどとして活用しています。空室がなくてここに宿泊できなかったのが残念。
ショップは地元のアーティストやデザイナーの作品を扱うお店がずらり。週末にはマーケットイベントなども開催してるそう。公共の図書館も入っていました。

「De hallen」。小さなショップが立ち並ぶエリア。

「De hallen」。小さなショップが立ち並ぶエリア。


図書館は明るくて、こじんまりしていて、暮らしの中でちょっと一息つきたい時に立ち寄るのに良さそうな空間だった。

図書館は明るくて、こじんまりしていて、暮らしの中でちょっと一息つきたい時に立ち寄るのに良さそうな空間だった。


アムステルダムでつくられている様々なものを取り扱うショップには、本当に様々なものが置かれていて、その上どれもおしゃれ。こんなに色々あったらお土産として人にあげるのも楽しそう。
地元アムステルダムでつくられたモノが並ぶショップ。

地元アムステルダムでつくられたモノが並ぶショップ。


食べ物や雑貨、本など、made in Amsterdamのモノが所狭しと並ぶ。

食べ物や雑貨、本など、made in Amsterdamのモノが所狭しと並ぶ。


千葉市で同じようなお店をつくったら、どれくらいのものが集まるのだろう。千葉で暮らしていて時々困ることが、誰かへの手土産や贈り物に最適な、千葉らしくてかっこいいものが、なかなかないこと。出会えてないだけなのかも知れないけれど、そういうものがあるとしたら、「ここへ行けば買える」っていうお店があるのはいいな〜と思いました。
ちなみにこのお店は2階で洋服やバッグをその場で制作して売っていました。作り手の顔を見て買えるというのも魅力のひとつ。作家さんとしても、こういうショップの中にアトリエを持てることは、いろいろ都合が良さそう。
目の前で洋服やバッグをつくっている様子が見れる。

目の前で洋服やバッグをつくっている様子が見れる。

フードコートはちらりと拝見。いろんな国の料理のお店ずらり。
お寿司に中華、ベトナム料理など、アジアの料理が人気な様子。
平日の夕方なのに、人でいっぱい。みんなお酒片手に、楽しそうに時間を過ごしていました。
日本でも夕方から友人やパートナーと食事を楽しめるような働き方ができたらいいのになー。

平日でも活気あるフードコート

平日でも活気あるフードコート

色んなものに誘惑されたけれど、ホテルの近所に行きたいお店があったので、ぐっとこらえてDe hallenをあとにしました。

■De hallen
http://dehallen-amsterdam.nl/
Hannie Dankbaarpassage 47
1053 RT Amsterdam

初日を締めくくるため、ホテル近くのレストランへ。
こじんまりとしていて、小綺麗で、雰囲気のいいお店。

メニューは全てオランダ語で書かれていたけれど、店員さんがメニューをひとつひとつ英語で説明してくれました。
それにしても、調理法や使われている野菜の名前を英語で聞いても、そもそも日本にない野菜もたくさんあるので、どんな料理がでてくるのか全く想像つかず。
オーダーしてから料理が運ばれてくるまでの間、ずっとドキドキしていました。
ワインをいただきながら待っていると、出てきた料理はこちら。

温サラダとタコのガーリック焼き

温サラダとタコのガーリック焼き


「温かいかぼちゃのサラダ」と説明されて、想像していたものを全然違うビジュアルのものが出てきました笑
でもかわいい!そして、おいしい!味付けはいたってシンプルで、素材そのものの味がしっかりしました。
タコのガーリック焼きもおいしい!そしてワインに合う!
おいしい食事のおかげでワインがすすみ、ほろ酔いでホテルへ戻ると、パタンと寝てしまい、オランダ旅の1日目が無事に終わりました。

■Meneer De Wit Heeft Honger
http://www.meneerdewitheefthonger.nl/
Witte de Withstraat 10
1057 XV Amsterdam

西山 芽衣
西山 芽衣 | 記事一覧

1989年、群馬県生まれ。大学で建築を学ぶ中で人の暮らしに興味を持ち、(株)北山創造研究所でまちづくりなどに携わる。2014年同社を退社後、大学時代から暮らす西千葉で、自らの生活を実験台として新たな生活の在り方を模索している。衣食住、政治、経済、教育など、日々の暮らしの中で生まれる「なんでだろう?」や「こうなったらいいのに」を出発点に、自分たちの手で暮らしを変えていく実験に人々を巻き込み中。都市の中で自然に楽しく生きること、もっと楽しい社会を次の世代に引き継いでいくことを目指す。 facebook: https://www.facebook.com/MeiNishiyama  instagram: https://www.instagram.com/xxx_mei_xxx/  web: http://harapecolab.jp/

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