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vol.12 働く君に伝えたい「お金」の教養

2016.10.27

働く君に伝えたい「お金」の教養 人生を変える5つの特別講義
出口治明 著
2016年 ポプラ社

お金の運転免許証

自分の将来について考えるとき、全く不安を抱かない、という方は果たしてどれくらいいらっしゃるのだろうか。勝手乍ら察するに、多分それほどいらっしゃらないのではないだろうか。わたしたちの暮らすこの社会において、政治や経済の状況はどんどん変化していくし、自分の仕事もどうなっていくかはわからない。勿論年も取っていくし、病気になるかもしれなければ、事故や何かで怪我をするかもしれない。不安の種を考え出したら本当にキリがない。

では、これら将来の不安を表象するものは何だろうか。きっと、今この社会で暮らすわたしたちにとっては、「お金」だと言ってしまって良いのではないか、と思う。この社会では、生きるために必要なものは、基本的には全て市場から「お金」を遣って購入することとなっている。衣食住は勿論のこと、必要なサービスだってそう。本や漫画、車にゲーム、エステにレストラン、全ては「お金」と交換することで、得ることができますよね。また、税金を納めていることで、暮らしに必要な行政サービスだって受けることができている。病気や怪我だって、保険に加入して保険料を払っているからこそ、安価な医療費で済んでいる。年金だって、事前に納めていたからこそいただけるわけです。

と、改めて振り返ってみると、自分の身の回りの物事の多くは、「お金」を介することで、自分にとってアクセス可能なものとなっている。逆に言えば、「お金」がなければ暮らしていけない、ということにもなる。昨今では「お金」を介さない経済の話、例えば物々交換だったり、自分が誰かに提供する技術や労力などの対価として「お金」ではない何かを得たりと、「お金」に依存せずに生きていくための様々な方法も模索され始めているように思えるが、それはまだまだ社会のメインストリームとは言い難い。とすれば、この「お金」ってやつと向き合い、確りと付き合っていくことができれば、楽しく自由な未来をつくるのに一役買ってくれる筈!ということでおすすめしたいのが、本書である。

著者は、元々日本生命に入社し、金融制度の改革・保険業法の改正にも尽力してきたとのこと。そして、「保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産み育てられる社会をつくりたい」「若い人たちが心置きなく人生にチャレンジできるよう、安くて、わかりやすくて、便利な生命保険をつくろう」との理念の下、彼は2012年に「ライフネット生命」を設立する。いわば「ネット生保のパイオニア」であるこの社名、目にしたことがある方も結構いらっしゃるのではないか。

本書では、言わば「お金」のプロとも呼べよう著者が、これまでの経験で体得してきた「お金の原理原則」を講義してくれる。年収が幾らだろうが、考え方を変える必要のない不変の「お金の原理原則」を教えてくれるというのだから、これは必見。具体的には、テーマを「知る」「使い方」「貯め方」「殖やし方」「稼ぎ方」の5つに分かれており、また彼のシンプルな筆致や、所々要素を分けて考えさせる部分などとも相俟って、非常にわかりやすくまとまっている。

嘗ては清貧が善とされ、殊「お金」に関する教育機会に乏しい日本に暮らすわたしたちにとっては、なかなか取っ付き難い「お金」の教養。確かに「お金」の話はし難いきらいがある、ように感じる。でも、何も知らなければ、適切な動きを採ることも難しくなるし、「お金」がいつまでも将来の不安ヅラしてつきまといかねない。ということで、手始めに本書辺りから触れてみて、知ることから始めてみるのは如何だろうか。知ってみると、意外と付き合いやすいね、ということにも、なるのかも。

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