この街のまだ見ぬ場所を目指して私たちは今日も練り歩く
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vol.3 この街のイタリアン

2016.10.13

都内で仕事を終え、電車で西千葉に着いたとき。
なんとなく、家にまっすぐ帰る気分ではないことがよくあった。
一人だけで飲んで帰るということであれば、それはそれで適した店は西千葉に何軒かある。
だが一人だけ、というのもなんだか味気ない。
少しでいいから知り合いと言葉を交わし、どうでもいいことでなんとなく笑いたい。
そして、なんだか気怠いような、それでいて頭の中だけが落ち着かないような、
そんな仕事づいた雰囲気を振り払い、力を抜いてから帰りたい。
ぼくにだって、そんな夜はあるものなのです。

西千葉駅の西側は、少し駅から離れるとすぐに住宅地となり、
夜もちょっと更けた時間になると、もう暗い。
だけど、西千葉駅から家に帰る道すがら、そこだけはなんだか明るく、
店の前には自転車が数台停められている。
窓を覗くと、常連さんが店主と笑い合っている様子が目について、
ついつい気になり、しまいには店に入ってしまう。
なんとなく話しかけて、話しかけられて、気づけば日を跨いでしまっていることも。
ぼくの暮らしにそんなことを度々起こしてくれるのが、Cafe Moshだ。

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常連さんが自ずと集まるカウンター席

今年の4月に7周年を迎えたこの店は、兎にも角にも人を引き寄せる。
昼にいけば、主婦の方々による会合が繰り広げられている光景を度々目にするし、
夜にはなんだか知らないけど、社会人と思しき面々が集っている。
めいめいが勝手に集まったはずなのに、知り合い同士であるということもしばしば。
ぼくも知らず知らずと引き寄せられていた一人だ。

飯が旨い、というのは、人を引き寄せる大きな理由の一つと言ってしまってもいいだろう。
味がしっかりと濃いめの、アッパー系とも言える料理の数々(もちろんそれだけではないが)。
そのどれもが、間違いなく旨い。
パスタもキッシュもカレーもサラダもチャウダーも、はたまた肉も、全部旨い。
たまに作られる和テイストのダウナー系な料理も、例外なく美味しい。
少なくともぼくにとって、Cafe Moshに再訪する大きな理由の一つはこれである。

何をおいてもパスタが絶品

何をおいてもパスタが絶品

そして今日はなぜか和風あんかけが。そしてそれもまた旨い

今日はなぜか和風あんかけも。それがまた旨い

そしてもう一つ。
それは、店主の藤井さんの距離感、みたいなものではないか、と思う。
ある側面では、お客さんに対する親愛のようなものを感じることがある。
顔を見知った人や常連さん、いわゆる「身内」に対する、遠慮なく親しみのこもったやり取りは、
彼らの居心地をきっと良くするものに違いない。
ぼくも多少その恩恵に与っているものと、勝手に思っていたりもする。
そんな人情味があると、「そういう店」なのかと感じてしまうかもしれないが、心配は要らない。
一方で、誰に対しても「等距離」な雰囲気も持ち合わせているように感じるのだ。
そしてその両側面が、なかなかどうして絶妙なバランスで共存しているという印象を受けるのである。

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そんな店主の藤井さん

飯が旨くて、一人で行ってもなんだか居心地がいい。
それに友人、知人を連れて行っても間違いがない。
となれば、人が集まらないわけはない、ということなのだろう。
そりゃあぼくだって、その中の一人になってしまうわけです。

今宵もきっと、誰かが旨い飯にありついているんだろうな、とそんなことを思い浮かべてしまったら最後。
ぼくはまたついつい、Cafe Moshに足を運んでしまうことになるのである。

■Cafe Mosh
Web: http://www.cafemosh.com/
住所: 千葉県千葉市稲毛区緑町1-21-2 IMI西千葉ビル
営業時間: 11:00-14:00(ランチ)18:00-24:00(ディナー)
定休: 不定休
TEL: 043-244-7979

三瓶 伊万里
三瓶 伊万里 | 記事一覧

1984年、福島県生まれ。大学がリベラルアーツを標榜することから、所属は教育学科ながら、他領域の学問にも自由に触れる経験をする。07年に住友商事(株)に入社、鉄鋼事業に従事する。サラリーマンとしての暮らしの在り方に疑問を持ち始め、まちづくりに携わりたいという想いを強くする中、同社を12年に退社。同年(株)北山創造研究所に入社する。14年には同社を退社、現在は新たな社会の在り方を研究しながら、実践の可能性を模索している。

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